行政書士 過去問 2019 問題 31
問題 31 質権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず、また、質物の占有を第三者によって奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
- 不動産質権は、目的不動産を債権者に引き渡すことによってその効力を生ずるが、不動産質権者は、質権設定登記をしなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
- 債務者が他人の所有に属する動産につき質権を設定した場合であっても、債権者は、その動産が債務者の所有物であることについて過失なく信じたときは、質権を即時取得することができる。
- 不動産質権者は、設定者の承諾を得ることを要件として、目的不動産の用法に従ってその使用収益をすることができる。
- 質権は、債権などの財産権の上にこれを設定することができる。
正解 4
- ⭕ 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず、また、質物の占有を第三者によって奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。👉 解説
- ⭕ 不動産質権は、目的不動産を債権者に引き渡すことによってその効力を生ずるが、不動産質権者は、質権設定登記をしなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。👉 解説
- ⭕ 債務者が他人の所有に属する動産につき質権を設定した場合であっても、債権者は、その動産が債務者の所有物であることについて過失なく信じたときは、質権を即時取得することができる。👉 解説
- ❌ 不動産質権者は、設定者の承諾を得ることを要件として、目的不動産の用法に従ってその使用収益をすることができる。👉 解説
- ⭕ 質権は、債権などの財産権の上にこれを設定することができる。👉 解説
解説
1: ⭕ 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず、また、質物の占有を第三者によって奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
妥当である。352 条(動産質の対抗要件)に「動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。」と、そして 353 条(質物の占有の回復)に「動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。」と記されている。
2: ⭕ 不動産質権は、目的不動産を債権者に引き渡すことによってその効力を生ずるが、不動産質権者は、質権設定登記をしなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
妥当である。344 条(質権の設定)に「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」と記されているが、それに加えて、177 条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)に「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と記されている。
3: ⭕ 債務者が他人の所有に属する動産につき質権を設定した場合であっても、債権者は、その動産が債務者の所有物であることについて過失なく信じたときは、質権を即時取得することができる。
妥当である。192 条(即時取得)に「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」と記されている。
4: ❌ 不動産質権者は、設定者の承諾を得ることを要件として、目的不動産の用法に従ってその使用収益をすることができる。
妥当でない。356 条(不動産質権者による使用及び収益)に「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。」と記されており、設定者の承諾を得ることは要件とされていない。
5: ⭕ 質権は、債権などの財産権の上にこれを設定することができる。
妥当である。362 条(権利質の目的等)に「質権は、財産権をその目的とすることができる。」と記されている。
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